商内ニは実意を以て格別高利を貪り申間敷候事なり

塚本孝左衛門家の家訓・人生訓塚本定右衛門家の一統である塚本孝左衛門家に、「規則守福路」嘉永元年(1847年)が残されており、家訓形式「塚本家掟書之事」や人生訓「人の道、天の道」が記述されている。

規則守福路 (一部紹介)
家訓 「塚本家掟書之事」一 銘々身分の分限可相弁候事
一 無益之殺生致間敷事
一 仕入物定品之外時流光物、又は甚奢り極候品、猥に買入致間敷事
一 旧来之外新督意(得意)初候ハ、懸方初度之払悪敷候ハヽ、二度目之商内急度遠慮可致、両度目之勘定不埒ニ候ハ、三度 商内停止致、精々以自談(示談)取片附事、猶旧来之督意(得意)も右之心得可有之候事
一 諸勝負事遊芸堅致間敷候事
右之条々ハ、当家之掟故必等閑ニ相心得間敷候、精々心を込め相守家業出精可致候、且又不合点之儀有之候ハヽ、先斐(先輩)之者ニ承り銘々其分限相守無益之費冥加之程忘却致間敷候、花美ハ前条定有候通リ当家之大禁物也、他家花美なるを見ても倹を守りて浦やミ申間敷候、商内片一切心懸、諸品時之相場上リ下リ相糺候而売り々可致候、右之規方自他共猥リに致候者ニは急度越度可申付候、(中略)人に応答致候ハヽ、行儀正敷礼儀を調ヘ柔羽ニして無理非道之筋聊申間敷候、猶商内ニは実意を以て格別高利を貪リ申間敷候事なり

一 各自の身分・身のほどををわきまえること
一 無益な殺生(むごい仕打ち、殺人)は厳禁である
一 通常定めた仕入れ品以外の、流行品または非常に贅沢な品をみだりに買入れすることは厳禁である
一 古くからのお客以外、新得意先は初回の支払が悪く滞ったときは、二度目の商いにおいてはきっと申し訳なく思い支払をきちんとするであろう。但し2度目の商いにおいてもまた不埒にも支払が滞った場合には、三度目の商いは停止すること。つとめて示談(書面?)でもって処理しておくこと。古くからのお得意先にもこのように心得ておくこと
一 勝負事や遊芸は堅く禁ずる

この条文は、当家の掟を定めたものであり、いつでもひまにまかせて心得ることではない。きちんと心を込め精を出して家業を守るように努めること。

かつ、また不明なことがあれば、先輩に聞くなど、各自その分限(身分)を守り、浪費をせず冥加を忘れないようにすること。

はなやかで派手なことは、前条に定めたとおり当家は大禁物である。他家がはなやかな様子であったとしても、うらやむことなく倹約を守ること。

商いをする者、一切を心がけること。商品類をその時の相場変動(上がり下がり)の組み合わせで売り続けることを自他共に勝手に行う者は、必ず過ちを犯すことになるであろう。

(中略)

人に接するときは、行儀正しく礼儀を調え、心やさしくし、決して無理や非道な道理を言ってはならない。なお、商いは本意をもって行い、高利を貪ってはならない。

「人生訓」(一部紹介)一 天道好還と申て車の輪のめくるかごとし、何事ヲ致すにも人の為なりと思ふべからす、人の事なりと思ヘハ物ごとにうき事(憂い事)思ふて早く退屈(気持ちが後退)し怠りをなして勲功遂かたし、己(おのが)働の事ハ皆己か事にして、いつれへも行ずして終にハ己に帰る物也、ゆへに積善の家にハ必有余慶、積不善の家にハ必有余殃と聖人も迎られき、......

自然のめぐり合わせにより、日々太陽が東から昇って西に沈み、毎年春夏秋冬の繰り返しがあると同じく、人の行う行為も車の輪が回るように、何事を行うにしても人の為と思ってはならない。

他人事と思えば、いつまでも続くものでない。自分の行う行為はすべて自分の行為であり、「人の為」ではなくすべて「自分に帰る」ものである。

従って、善行を重ねている家には必ず幸福となる。善行を怠る家には必ず災難がつきまとうので、すぐれた人材も迎えることができない。

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