不道徳な商行為の禁止...二代目 中井源左衛門 家訓「中氏制要」

買置の事、相場の事、やし*の儀は、子孫門葉に至迄堅禁制たるべき也......
相場・買置のは賈術(こじゆつ)は所謂貧賈の所為、人の不自由を〆くくり、他の難儀を喜ぶものなれば、利を得ても真の利にあらず、何ぞ久しからんや
*やし......的屋(てきや)

買置(買い占め)、相場、やし(的屋・虚偽・詐欺)の事は、子孫に至るまで堅く禁止する。
相場を張ったり買い置きしたりする商いはいわゆる貧賈(貧しい商い)である。
人の不自由を強いて他人の難儀を喜び、そのことを気にかけないで得た利益は真の利益ではないので、家業が永く栄えることはない。

人生は勤むるにあり、勤むればすなわち匱(とぼ)しからず、勤は利の本なり、よく勤めておのずから得るは、真の利なり

人生の目的はまっとうに働くことである。働けば不足することはなく、勤勉は本物の利益である。
よく働くことによって得た利益こそが真の利益である。

人は人たる務を大切に心懸可ク申候、恩を忘ず冥加をおもひ、世の交り恭敬(つつしみうやまう)に、仮初(かりそめ)にも自立自慢の心なく、人の難儀をおもひやり、人の喜を楽み、自己の自由を止め其力に任せて窮迫を憐み(あわれみ)救志(すくうこころ)ならば、上は天の御心に叶へ。下は諸人の気受能(きうけよく)、商道の利運も其中に有べし

人としての責務を大切にすることを心がけ、恩を忘れず、神仏のご加護を思い身を慎み、仮にも慢心・奢りの心を持たず、人の苦しみ・苦労を思いやり、人の喜びを自分のことのように喜び、自分の好き勝手を止めて、人の困難に対して思いやり、救いたいと思う心があれば、上は天に通じ、下は人々から好意的に思われ、商売の利運もその中にあるべきである。

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